悲しいのに赤飯を

浄土真宗の往生の意味を知っていただきたいです。死んだから往生ではありません。

読んで字のごとく、「生まれ往く」のです。

死ぬのは、私が生涯抱えてきた煩悩が阿弥陀如来のお慈悲の本願力のはたらきにより死ぬ（無くなる）ことにより、無常（人間）からお悟りの世界へ生まれていくのです。

俗に言う「死ねば仏」は、この浄土真宗のみ教えを間違えているものであり、元の言葉は、『歎異抄』の一節、弥陀の本願を信じ、念仏もうさば仏になるというところから来ていると言われます。仏教も知らず、念仏も申さず、仏法聴聞すらしない人が都合の良い解釈をしているのであります。

しかしながら阿弥陀如来のお慈悲は、あらゆる命を念仏一つで救い取りたいという願いの中にありますから一概に嘘とは言いにくい面もあるのかも知れませんが、少なくとも親鸞聖人はそのようなことはおっしゃってはおられません。

おまかせして生きていくのが浄土真宗のおみのりです。

自分勝手に生きて、阿弥陀如来のご本願も知らずに死にさえすればいいところに行けるなど、そんなものはありません。

さて、浄土真宗のみ教えを人生のよりどころとして南無阿弥陀仏を灯火としながら人生を生き抜かれた人を昔から念仏者とか、妙好人とか言い尊敬されてきました。

その中にある実話です。

ある念仏者がいよいよ死を間近にして、子どもにこう言われました。

「わしが死んだら赤飯を炊けよ」

そんな親からの言葉を聞いて、子どもさんが怒ります。

「親が死んでどうして赤飯なんか炊けるか。赤飯はめでたい時に炊くものだ」

「だから赤飯を炊いてくれと言うんだ」

「わしは人生の生き死ににはもう用事などない。阿弥陀如来の本願力によって煩悩具足から解放されていくんだ。生まれて往くんだ。だから喜びではないか。また、わしは人生でこれだけ素晴らしい子どもたちにも恵まれて何の不満があるものか。南無阿弥陀仏のお念仏も我が身にいただいた今、安心して命を終えていくだけだ。」

そう言い切っていかれたそうです。

皆さまはいかがでしょうか。

自分が死にいく中、残していく子どもたちに赤飯を炊いてくれなど言えるでしょうか。

しかしながら、本当に親鸞聖人のみ教えを我が身にいただいて仏恩報謝の道を歩んでいるのであれば、それを言い切る、そんな生き方をする事ができてこそ真の念仏者と言えるのではないでしょうか。

昨今は家族葬が主流になり、お通夜をしないようになってきましたが、お通夜の良さは、故人を偲んで生前にご縁のあった方がお参りくださる大切な機会です。

一日葬なら、平日では若い子は学校だから来れないし、会社勤めの方は来ません。

故人のこと、家族ですら知ることの無いことを間近に聞くことができる大チャンスだと私は思うのです。

それをみすみす逃してしまうのは残念だと思うのです。

もちろん費用が嵩むという事情はあるのでしょうが二度とない最初で最後の機会として、子どもとして我が親へのご供養として大切な機会として是非お勤めしていただくよう私は願っております。

少なくとも超法寺は、お通夜をして良かったと思っていただけるように常に心がけています。是非、ご用命ください。

浄土真宗の素晴らしさは、大切な人が亡くなったのに赤飯を炊けるところでは無いでしょうか。往生するとはそんな素晴らしい世界なのです。

是非それを知っていただきたいですね。おやすみなさいませ。

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏