お前も死ぬぞ!
- 超法寺の住職
- 2 日前
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「明日ありと、おもうこころのあだ桜、夜半に嵐の吹かぬものかは」
これは親鸞聖人が得度(僧侶になるための儀式)を受けられる時に、「今夜はもう遅いから明朝に儀式を行おう」と言われて、とっさにこう詠まれて夜のうちに得度の儀式を済まされたと伝わっています。
私たちは無常の真っ只中に生きているのです。しかし悲しいかな現実はそう思って生きてはいないでしょうね。
まだ若いから、まだ元気だから、仕事があるからとか、まだ自分には早いから親に任せているとか、あれこれ理由をつけてはお寺参りを他人事にしてはいませんか。
こうやってずっとずっとずっと••••••生きてきたのですね、私たちは。
「死ねば仏」は原則ウソですよ。
阿弥陀如来のご本願に遇うことなしには、私が仏になることなどありません。自力では往生できないのです。
ですから、ご先祖が、有縁者が、ペットが私に仏法聴聞を勧めていてくださるのです。
それなのに、今日とも知れない我が人生を私の都合ばかりを優先して生きてしまうなんて実に勿体無いですね。
悲しみ深く、この無常が私の問題とならなければ、いくら我が家は代々浄土真宗だと言っても、仏法聴聞ができないのです。
『歎異抄』にも、「なごりおしくおもえども、娑婆の縁尽きて、ちからなくしておわるとき、かの土へはまいるべきなり」とあります。
待ったなしなのです。
しかしながら、どうしても私は入らないのです。悲しいことです。
ずっとずっとずっと〜、こうやって仏に遇わずにただ自分のしたいように生きてきたのです。
童話「アリとキリギリス」を今一度読んでみませんか?
まさに無常を私に教えてくれていますよ。
楽しみ放題に生きて、老いたら悩み、病気になったら世を憂い、他人を羨み、死を迎えたら恐怖する。
お釈迦さまは、「愛別離苦」と教えてくださいます。愛する者と別れていかねばならないのです。苦しいんです、悲しいんです。
例えばペットと別れてペットロス症候群になられる方が多いと聞きますが、そのペットを買う時に(飼う時に)いずれ死に別れなければならないんだということはあまり考えずにいなかったでしょう。
それでも飼った以上、彼らもひょっとしたらご主人が先に亡くなって悲劇となるかも知れないとは思ってもいないでしょう。
「生まれた者は必ず死ぬ」
これは誰でも認めていかねばならない真理であります。ではどうすれば良いのでしょうか。
お釈迦さまは、これを四苦八苦の一つとして人間の根本苦に挙げておられます。
私たちの力ではどうにもなりません。悲しみを乗り越えていくことすらできません。
「まかせよ、救う」と、おっしゃる阿弥陀如来におまかせするしかありません。
法然聖人のお言葉に、「生々世々(しょうじょうせせ)の父母、師長(先生や先輩)、妻子、眷属(親族)、朋友(友人)、知識(善知識、よき友や指導者)に相見(あいまみ)えんと欲せば、極楽に往生すべきなり。」
と、おっしゃっておられます。
また、会える世界があると言われているのです。『仏説阿弥陀経』には倶会一処(くえいっしょ)と説かれています。
阿弥陀如来のみ教えに遇い、他力の信心を得たならば皆必ず極楽で遇えるのです。
これを聞くために私は生きているのです。
お念仏の世界では、愛別離苦の悲しみを超えて倶(とも)に会えるというまさに倶会一処の温かく安らかな世界が開けてくるのです。
ですから、このどうしようもない悲しみを受け止めて仏法聴聞をしていくしかないのです。
遠回りも近道も私の都合にはなりません。
お寺が気になった私は、さまざまな方々が仏縁となり今、勧めていてくださっているんだと認識したいものだと私はそう思います。
親鸞聖人は、『浄土和讃』に、
「安楽浄土にいたるひと、五濁悪世にかへりては、釈迦牟尼仏のごとくにて、利益(りやく)衆生はきはもなし」と詠われています。
亡き人は南無阿弥陀仏の仏さまとなって、この世に帰ってこられるのです。
「恋しくばなむあみだ仏をとのふべし、われも六字の中にこそあれ」
ご一緒に仏法聴聞を重ねて、南無阿弥陀仏のお念仏をお称えしながらの人生を歩んでいきませんか。私はペットが目の前で事故に遭い、失意のどん底を経験し、一週間仕事を休み号泣しながら毎日毎日仏法聴聞を重ねて乗り越えました。悟りの道を教えてくれた愛犬に感謝すると共に、また遇えることを楽しみに、また無常を教えてくれた愛犬に感謝しながら南無阿弥陀仏をお称えする毎日です。
「お前も死ぬぞ!」
某霊園にこう彫られてありました。
驚愕でした。そしてきっと故人さまは敬虔な仏教者ではなかったかと思いました。
お墓はやはり故人(先祖)からの遺族へのメッセージを刻むべきだと私は常々考えています。
与えられた今日の命を精一杯生かさせていただきます。有難きしあわせ。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏
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